深夜釣行 > 釣行記 > 2011/5/9

スーパーランカーシーバス


いつもなら釣れた魚の写真は釣行記の最後の方でお見せするのだが、

今回はまず最初に写真を見て頂きたい。






シーバスの下あごを掴んだ手と比較してもらえれば、シーバスの巨大さが分かって頂けるだろう。

地元の中讃地区(香川県中部)では、ほぼお目にかかれないサイズのスーパーランカーである。

そして厳しい自然界を長い間生き抜いてきたであろう老獪な顔つきにも注目してほしい。


今回の釣行記は、このスーパーランカーシーバス捕獲の一部始終を詳細に報告しようと思う。

サイトでの息詰まる魚との駆け引きと、究極の接近戦を制した攻防をノンフォクションでお楽しみ頂きたい。




ゴールデンウィーク明けの5月9日(月)。

この日は仕事を早目に切り上げ、仕事帰りに中讃地区のとある河口にやってきた。

潮位は干潮目前なので遠浅の河口にウェーディングでアプローチする事にした。

仕事着のスラックスとワイシャツを脱ぎ、勝負着であるウェダーとライジャケを装着。

ビジネスマンからアングラーに変身し、ロッドを片手に沖を目指してゆっくりと歩を進める。

まずは水面を観察し、潮目や波紋から流れとベイトを探す。

次にルアーを投げてゆっくり巻きながら引き抵抗を確かめ、流れの変化を探す。

潮はまだ下げているので、川からの流れの筋が最も流れが効いているようだ。

流れの筋の付近ではボラが集まっており、ルアーにも時々当たってくる。

このボラの群れに大型シーバスが混じっている事もあるので、期待を込めてキャスト&リトリーブを繰り返す。

投げるルアーはアピアの新作ラムタラ

地元香川県が誇るランカーハンター濱本国彦氏の渾身の作である。

恥ずかしながら自分はまだこのルアーではシーバスを釣っていなかった。

香川県のシーバスアングラーとしては、是非このラムタラでランカーシーバスを釣っておきたいものである。





ラムタラで遠投を繰り返していると、前方から何やら大きな魚影がゆっくり近づいてくるのが見えた。

ん? 巨ボラか?

ボラにしちゃデカイぞ?

まさかシーバス?

ルアーを急いで回収し、その魚影の向こう側に軽くキャストしてみる。

そして目の前をゆっくり横切るようにフラフラ泳ぐとラムタラを見せてやる。

どうだ?

しかしその魚影はルアーに反応する素振りさえ見せず、ゆっくりと目の前を通過しようとしている。

やはりボラにしてはデカイ・・・

もう一度魚の目の前にルアーを通してみるが無反応。

そこで今度はルアーを魚の向こうに落とし、ゆっくり魚に近付けて・・・・





大きくジャーク!(爆)

ラムタラが激しくその魚の背中にぶつかり、同時にロッドが曲がった!



やりぃ♪ 引っ掛け成功

ここまで読んで

「何だぁ? スーパーランカーシーバスっていっても、スレで掛けたんじゃねえか!」

「何がサイトでの息詰まる攻防やねん! そういうオチか!」

と思った方・・・


今回はそういうオチではございません。

まだ続きをお楽しみください。



引っ掛け成功♪と思ったのも束の間。

魚が驚いて暴れた瞬間にルアーは魚から外れてしまった。

面倒臭そうに体を翻し、水中に消えていく魚影を見送りながら思った。

これで良かったのだ・・・と。

あの魚がシーバスだったかどうかは分からないが(ボラにしてはデカかったが)

スレ掛けで捕獲したとしても何の自慢にもならない。

そんなのは釣りとは言えない。

ルアーは魚の口に掛けてナンボなのだ。

魚のボディを狙った引っ掛けなど、アングラーとしては恥ずべき行為だった。




自らの行為を反省し(実はあんまり反省してないが)、気を取り直してキャスト再開。

今日はネタは要らん! 今度こそ真面目にシーバスを釣るのだ。

潮位と流れの変化に合わせて少しずつ移動しながらシーバスからのコンタクトを待つ。

相変わらずボラは大量に群れており、時折ルアーにゴツゴツ当たってくる。

そしてついに、ガツン!

遠投して巻き始めたルアーに、今までのボラスレとは違う力強く引っ手繰るようなアタリが来た。

が、残念ながらフッキングには至らず。

しかし今のアタリは手応えからしてシーバスの可能性大。

期待を込めて再びキャストを続ける。

そうこうしているうちに、またもや大きな魚体がゆったりと泳いで来るのが見えた。

ボラ?

いやボラしてはデカイ。

まさかさっきのヤツ?

試しにルアーを魚の前方でそっと泳がせてみるが、やはりルアーに反応する様子はない。

そしてその魚影は目の前をゆったりと通過。

自分からの距離は3mチョイか。

暗いので魚体がハッキリ見える訳ではないが、どうもシーバス臭い。

ここでライトを点けたり、自分が少しでも体を動かしたりすれば逃げてしまうだろう。

しかし何もしなくても目の前を通過してしまうのを見送るだけだ。

どうする・・・

考えろ俺。

スレ掛け狙いはアングラーの恥だ。

なんとかしてルアーを食わせるのだ。

一旦ルアーを回収。

カツン・・・

リールを巻きすぎてルアーがトップガイドに当たってしまった。
(↓この状態ね)



落ち着け俺!

ん? もしかして・・・


そうか、この手があった。

とっさに閃いた作戦を実行! 考えている時間はないのだ。

ルアーが竿先にくっついたこの状態のままで、魚の口元に竿先をそぉっと・・・

無理やり魚の口にラムタラを押しつけた刹那、思い切りロッドを引いた(爆)

やりぃ♪ ヒットォォ!

今度はボディへのスレじゃなくて、ちゃんと口に掛けたぜぃ

これぞサイトでの究極接近戦なのだ (ナニカ問題デモ?)



さぁここから巨魚とのパワーファイトが始まるのだ。

魚との間合いをとるため、急いでリールから手でラインを引き出し、ファイト体勢をとる。

ところが魚はのたうつように抵抗はしているが、ドラグを鳴らして走るような素振りはない。

そして水面に顔を出してゆっくりと頭を振った。

なんじゃ? 今のがエラ洗いか?

魚はシーバスには間違いないのだが、そのエラ洗いにはルアーを吹っ飛ばすようなパワーはない。

リーダーを手で手繰って魚を手元まで寄せ、そのままボガグリップをシーバスの下顎に掛けた。

シーバスを水面から持ち上げる。

顔がデカイ!

体も・・・長い・・・

そのまま砂州のところまで引っ張って行って、メジャーを当ててみる









ながっ(驚)


計測の結果、サイズは95cm。

自己タイ記録である。

自己新じゃなくてある意味ヨカッタ(笑)

それにしても、やせ細った老体シーバスである。

頭は大きく、顔つきにも迫力があるが、片目は白濁している。

その弱々しいファイトからしても、ご臨終間際の老シーバスのようだ。

ヤバイ!背びれがヒクヒク痙攣しはじめたヨ

このままだとこのシーバスをここで看取ることになってしまう。

これ以上写真を撮るのは諦めて、急いで魚を水に戻す。

老体をいたわるようにゆっくりとエラに水を通し、魚体を支えて蘇生する。

ゆっくりと尻尾を振って泳ぎ始めたので、一旦ストリンガーにつないで様子を見る。

暫く泳がせてみたが、ひっくり返る事もなくやがてロープを引っ張り始めた。

どうやら大丈夫なようだ(ホッ)



ストリンガーから外してリリース

老シーバスは最後に自分の親指を力強くガブリと噛んでから暗い海にゆっくり帰って行った。

アディオス

もうそう長くはないだろうが、達者で暮らせよ。



という事で・・・


スーパーランカーシーバス、ゲットだぜぇ

で、OK? (^-^;)


釣行記目次に戻る